去年の夏からずっと、NYのジャズファウンデーション主催の、ニューオリンズミュージシャンに報酬を払って、近郊の老人ホームや学校に1時間のコンサートをやりに行く、というのを1ヶ月に1、2回やっています。 時には往復3時間に及ぶ運転は楽ではないけど、この節、遠くに住んで何時間も運転して仕事に来るミュージシャンも多いし、ハリケーン避難の練習と思えばなんのその。 今日は幸い、ニューオリンズ市内の小学校の仕事。 ジャズフェス会場のフェアグラウンドに近い、しかしすぐ近所に,閉鎖された 低所得層団地がある、Gentily地区の小学校。 先月行った、Lulingという車で45分くらいのところの中学校に比べて学校は格段に汚いけれど、生徒はおとなしくきちんと座っています。3−5年生らしい。 随分おとなしいなあ、ニューオリンズの子は悪いっていうわけでもないんだなあと思ってハッとした。この子たちは皆、ハリケーンの被害者なのだ。この辺りに住んでいるということは、家も何らかの被害に遭っただろうし、水の中を避難した子もいるかもしれない。 メンバーはErnie Elly (drs) , Jamil Shalif (tpt), Louis Ford (cl), Sidney Snow (b). 今日はアーニーは機嫌よくて、「この子たちはお行儀がいいな」などと言っていたが、ドラムソロでうんと盛り上がるといつもやる、スティックを持ってあちこち、机や椅子や缶など叩きながら部屋中を廻る技を披露。 すると、それまでおとなしかった子供たちが喜び,中には自分のテーブルを叩いたり、アーニーのスティックをちょっと借りて叩いてみる子も出て来た。こんなのは今まではなかったな。さすが、ニューオリンズっ子たちだ! 更に質問コーナーでは 「なんでクラリネットにはそんなに沢山ボタンがありますか」 「なんでそんなに早くドラムを叩けるのですか」 「ピアノをやるのは難しいですか」 究極の質問は Can anybody play instruments? ジャミールはこれを「誰でも演奏できるようになりますか」という意味にとって答え始めたのだが、先生が素早く「今日はだめ、聴くだけですよ」とたしなめた。つまり、この子は、いや他の子たちも明らかに、楽器を演奏したがっているわけだ。 ああ、ニューオリンズだなあ、やっぱり。学校制度が悪かろうが、何だろうが、やっぱりこの盛り上がりはニューオリンズの子供たちだなあーーーと目頭が熱くなった私でした。 |
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小学校でのコンサート
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