左の一番大きい記事、New Orlenians rebuild their own とい
う見出しのすぐ下のスライドショーが見られます。
Lower 9th wardの方は、右側に橋が見えますね。その
前、ずっと空き地になっていますが、すべて家が建
ち並んでいたところです。
東京新聞池尾記者のお供で、先週、Lakeview(17th street
canal)とGentily(London canal)を見てまわりました。
17thでは、壊れた箇所の前,道のそちら側は全部
さら地にしてありました。その周りもつぶしていく
のでしょうが、これはArmy corpsが買い上げているか
らです。しかしまだお金は貰っていないし,家の
ローンは払い続けているという状態だそうです。
さらにその近所は、堤防沿いといえども、気丈に直
している家もありました。トレーラーもありまし
た。といっても、まとまってあるのではなく、点々
として実に寂しい状態です。手が付けられていない
家もあり、庭の草や木が伸び放題です。1年刈って
いないのですからね。
London canalでは、壊れた所は同じようにして直してい
ますが、その周りは手つかずといってもいいでしょ
う。ここはまだ、堤防の周囲どのくらいまで、さら
地にするか決まっていないのでしょう、家を直して
もつぶされるんじゃ意味がないですから、本当に
ほってあります。元々大きな木が茂って暗い通りな
のですが(しかし家はみな大きい。中〜上の所得
層)さらに陰惨としています。大きな通りに出る
と、トレーラーがポツンポツンとある程度です。
これに比べれば我が家の近所はましですが、しかし
まだ、住むにはどうでしょうか、という感じです。
特に現在、メキシコ湾にハリケーンが近づいていま
すからね。予想は少し東にずれたようですが、楽観
はできません。Army corpsもはっきりと「大きなス
トームには持ちこたえられまい」と言っています。
何故、持ちこたえられまいものを作る????
先週、この二つの水路にかかる水門を閉めるテスト
が行われましたが、17thでは閉めるのに2時間、
Londonでは35分かかった上に、水をかい出すポンプ
がおかしな振動を始めて、使い物になりそうもな
い。今日も、娘が友達のところに行くんだー早く連
れてけー遊べなくなるーと騒ぎましたので、大雨の
中を車を走らせましたが、フレンチクオーターから
Industrial canalに伸びる川沿いの道は,水があふれて
いて、排水機構がよく働いていないこと、一目瞭然
です。
池尾記者は10月に来た時に,私のミュージシャン
の友達何人かにインタビューしています。今回同じ
人たちにまた話を聞いていました。ウイリアムは
「ニューオリンズの家賃は今やハリケーン前の3倍
近い」ことを指摘し、FEMAの家賃援助(避難先のア
パートの家賃を出していた)は、被災後1年でそろ
そろ打ち切られるのに、ニューオリンズには戻って
も住む所がなくてどうするつもりか、と言いまし
た。避難先で、夫婦ともどもいい仕事にありつけ
た、などと言う人は稀です。アメリカの景気は、避
難民すべてが新しく生活の基盤をよそで整えられる
程、よくありません。避難民が数少ないところはま
だしも、ヒューストンのように大量に流れていって
いるところでは、いろんな問題が起こっています。
なんとか週2、3回のギグにありついたミュージ
シャンもいますが、それで暮らしていけるわけでは
ありません。ヒューストンからニューオリンズまで
7、8時間運転して、週末働いてまた戻るミュージ
シャンもいますが(ジェフェリーもそう)ガソリン
代は高いし、割が合うとは思えません。
うちの大工さん(といっても、下請けをいっぱい
使って、現在25軒くらいを平行して直している)
の話では、家の修理が遅れるのには、建築材料が高
値な上に不足していることも原因だそうです。同じ
仕事をするのに、2、3倍の費用がかかり(州の援
助金をまるまる15万ドル貰ったっておっつかない
よ)、ひどい時は3ヶ月も材料を待つそうです。
メキシコ系労働者を主に使っていますが、3倍の家
賃のアパートに、普通より多い人数を詰め込んで
やっているそうです。ただ、よそから来る人という
のは、どうしても心情的に、「こんな家どうでもい
い」と思いがちですから、きちんとした仕事をして
もらうのに大変だそうです。ウイリアムの近所で
は、電気もついていない家に、何人も住んでいて,
仕事から帰ってくると、外で煮炊きをし、ろうそく
の灯りで暮らしているのがいるそうです。
池尾記者の記事は29日に出ます(インターネット
で見られる筈)。今日は読売新聞ニューヨーク支局
の方にお話をしました。日本でも実情がきちんと伝
わるよう,願いたいものですね。中には下調べをし
てきていないメディアの人もいて、堤防のどこが壊
れたのかも知らず、とにかく9th wardという所へ行っ
て荒れた風景を撮ればいいと思っているようだった
のには驚きました。9th wardもひどいのですが、問題
はそこだけではありません。実際、9th wardだけが洪
水になった60年代のハリケーン・ベッツィの時
は、ニューオリンズの残りの地域が協力して、復興
できているのですからね。今回は水量が多かった上
に、9月のハリケーン・リタでまた浸水して、復興
に遅れをとった(12月まで封鎖されていた。遺体
の撤去作業が終わらなかったため)ことがありま
す。Lakeviewも同じくらいの浸水でしたが、あの辺は
レンガ造りの家が多い。9th wardは南部風の木の家が
多いーーーまるで、3匹の子豚ですね。
さて、とりあえずの問題はあと5日程で来るという
新しいハリケーンです。うちの夫は戻っています
が、カトリーナ1周年記念行事のギグなどで暇がな
い。私も月曜にはミシシッピのカジノまで行かなく
てはなりません。こんなの、以前ならとらなかった
仕事ですが、ヒューストンから来る人たちのことを
考えたら文句は言っていられませんからね。片道1
時間半の運転が何だ!
そんなわけで、火曜日にはSUVを買いに行き、その夜
には避難するかも、という状態です。娘はニュース
を聞いて「また物がなくなるの嫌だ!」と言いまし
た。彼女の友達も同じ事を言ったそうで「こんなに
小さいのにわかっているのよね」とそのおかあさん
は驚いていました。「またか、と思うわ。でも Life
is going on」「It gotta be.」